~食事と健康の都市伝説1~マーガリンとショートニングだけは避けた方が・・・②

顎関節症をインビザラインで治療することをやり続けて10年、表参道のパルフェクリニック医科歯科の勤務医 伊藤剛秀です。

前回から、水素添加による“硬化油”といっていますが、これもバターの様な硬さにまでしてしまうと「柔らかくムラなくパンに塗れるマーガリン」という便利な商品ではなくなってしまいます。だから作りたい商品にあわせて「部分的に」硬化させているのです。そういうわけでマーガリンの中の人工トランス脂肪の割合は商品によって20%~40%の間で調整されているのだそうです。

どうでしょう。これはもう食品というより、科学的な技術を使った「食べることのできる工業製品」ではないでしょうか。エンジニア達は、水素添加した脂肪の分子を顕微鏡で覗くと、それはプラスチックの分子にそっくりだと言います。従って脂肪専門の科学者たちは実際に「オイルをプラスチック化する」という言葉を使っているそうです。これはもう´プラスチック食品´と呼べるということだといいます。

この驚異の食品は実際に2年置いて観察した結果、光や空気、自然にある細菌その他に晒しても少しも変化しなかったといいます。そしてその間どんな虫もネズミも食べることも近寄ることもなく、カビさえ生えなかったそうです。バターを同様にした時とは全く違ったということです。

では、この「工業化されたプラスチック食品」の製造方法をお教えします。120~210度の高温と高圧で触媒として重金属のニッケルや銅を使い、水素ガスを反応させることにより出来るのです。この過程で変化させられた脂肪分子の断片が出来て、それが有害なものに変化し、最終的な製品の中に金属触媒のカス残ってしまうのです。

どうでしょう。この様な製法で出来たものを小麦に練りこんだ小麦を焼いて作ったパンやケーキ、お菓子ってどう思いますか。あれもダメ、これもダメというのは本当にネガティブな気持ちにさせられてしまいますよね。すみません。でも、この良い脂肪と悪い脂肪についてだけはどうしても伝えたいのです。何故なら私たちの体、つまり細胞は脂肪で膜を作っているのですから。

再び最初にお話した件の中の「肥満の原因になる」とはどういうことなのか、ご説明しましょう。
オメガ3の脂肪というのは、エネルギーを燃やす起爆剤にもなる脂肪なのです。それゆえ不足すると肥満の原因となるのです。もうおわかりでしょう。正常なオメガ3を摂れていなくて、変質したオメガ3を多く摂っていれば、やはりオメガ3不足となるのです。更に肥満は不妊症のリスク要因であり、この人工合成トランス脂肪酸はたとえ少量でも排卵性不妊をおこしうるとの説もあります。

東北大学や国立栄養研究所などの調査では、肥満者や認知症の老人の血液中にはオメガ3の脂肪が不足していたとのことです。実は市販されている植物油にも人工トランス脂肪を含む製品はあるのです。それは精製油の製造方法に原因があります。また、良質なオメガ3脂肪の供給源である魚も天然物と養殖物では全くその価値が異なるのです。これらの事を説明すると長くなるので、別の機会にお話させて頂くこととします。先ずは今回のテーマである「マーガリンとショートニング」に戻ります。

このようなこともあり、世界の国々では使用を規制するところも多いのです。ところが日本のお菓子メーカーや製パンのメーカーは成分表示にしっかりと”マーガリン”や”ショートニング”が書かれています。原料として安いからなのでしょうか。「安いものにはワケがある」ということなのでしょうか。

ところが先日、今まで知らなかった地方のメーカーの”冷凍ナン”に「当製品には人工のトランス脂肪酸は使用しておりません」と小さく書かれていました。
なんだかとてもほっこりしました。良い会社だ。

信じるか信じないかはアナタ次第です。