~美容とアンチエイジングの都市伝説1~加齢を遅らせ、シワを防ぐためAGEを避ける①
表参道のパルフェクリニック・医科歯科 で、顎関節症の治療と運動機能向上のための顎位決定を担当している歯科医師の伊藤剛秀です。
AGEは終末糖化産物のことであり、老化を促進する物質のことです。糖とタンパク質と結びつくプロセスを”糖化”といいます。この時にできる悪玉物質がAGEです。そして糖化はタンパク質を茶褐色にします。少し表現を変えてみると「あなたが飲み物や食べ物として、それに含まれた糖を口に入れるとその糖が血液と共に全身を駆け巡りくっ付くタンパク質を探すのです。そしてくっ付いた糖がタンパク質を褐色にします。」ということです。もちろん糖(ブドウ糖)は体が利用する主要なものです。特に赤血球はブドウ糖しかエネルギー源とできないし、脳もケトン体というものが無ければ通常はブドウ糖をエネルギー源とします。しかし過剰なブドウ糖は体に害を与えるということなのです。
ではこのAGEがどうやって肌のシワに影響するのか。皮膚の80%近くはコラーゲンで出来ています。この弾力性のあるコラーゲン繊維を所々で橋を架けて繋いでいる「架橋結合」というもので肌は成り立っています。そして肌の奥にAGEが溜まると、その色のために肌が黄色っぽくくすみます。
更にコラーゲン繊維の機能が低下し、硬い皮膚となりシワが出来易くなります。加えて、架橋結合が増えるとシワがよった皮膚は引っ張ってもすぐには戻ろうとしなくなるのです。
このコラーゲンというものは体内で最も多いタンパク質であり、骨、歯、筋肉、靭帯、軟骨、眼とあらゆる部位にあるものです。なのでコラーゲンを保つことが全身の健康にも関わることなのです。コラーゲンを多く含んだAGEをグルコスパンといいます。これを作らせず、その架橋結合を増やさないことが美肌には大切です。「お肌の曲がり角は25歳」と言われるのは「25歳を過ぎるとコラーゲンの生成量よりも破壊量が増え、顔に最初のシワや小ジワが出来る」という説と一致すると思います。因みにこのグルコスパン、組織の弾力性を失わせると先程お話しました。これは血管も例外ではありません。血管の弾力性が失われて硬くなると高血圧の原因にも心疾患の要因ともなります。又、2型糖尿病の一因ともなるのです。この様に組織の弾力性を保つことは、美容やアンチエイジングのみならず、あなたの健康維持のためにも必要なことと言えるのです。
であれば尚更、AGEの摂取をなるべく減らすことが必要だと思うのですが、あなたはどう思いますか?
次にこのあなたを老化させ、肌にくすみやシワを増やし、体のあらゆる部位の健康に悪影響を及ぼすAGEがどういう時に出来るのかについてお話しましょう。
タンパク質と糖質とを高温加熱調理によって黒や茶色に変色したところ、つまり変質させてしまったタンパク質のところです。あなたが「おいしそう」と思うところにもたくさんあります。きつね色に焼きあがったパンケーキ。プリンにかけてあるカラメル。ワッフルやトーストの焼き目。焼き菓子たち。
それはビスケットやクッキー、せんべいなどできれいな焼き色のついた部分にもあります。そして高温の油で揚げたポテトチップス、フレンチフライ、唐揚げ、とんかつの茶色い部分にも。直火で焼いた肉や魚や野菜の黒く焦げた部分。鉄板やフライパンで焼いたり炒めたりして茶色くなった部分。
一例を挙げれば、フライパンで玉ねぎを炒める時「玉ねぎがキレイなアメ色になる迄よく炒めましょう」というのはよく耳にします。オニオングラタンスープなんかも玉ねぎが甘くなって美味しいですよね。これは玉ねぎをカラメル状になる迄炒めるということなのです。料理でよく用いられる、この加熱により褐色状に変化することはメイラード反応と呼ばれますが、これはアミノ酸と糖が結合したということなのです。そうです、AGEを作っていることになるのです。このカラメル化したものというのは、砂糖と一緒に加熱した肉や魚の黒く焦げた部分なのです。ですから、焼き鳥や焼き肉、魚の照り焼き、うなぎの蒲焼等々は言うまでもないでしょう。