「あごのズレ」シリーズ⑪_運動能力向上

こんにちは。

身体の歪みと運動能力の関係を顎の位置から改善することに特化した東京都港区のパルフェクリニック医科歯科の歯科医師です。

今日は「あごのズレ」と運動能力向上についてのお話しです。
このシリーズでは、あごのズレと骨格の歪みについてのお話しを何度もさせて頂いています。骨格が歪むと運動能力が落ちそうなことは、なんとなく想像が出来ると思います。逆に過度の運動により骨格に歪みを生じさせると「あご」もズレてきます。そしてプロのスポーツ選手ともなると、瞬間的に掛かる歯への荷重も半端ではありません。

最近、2/25のニュースで、メジャーリーグで活躍中のレッドソックスの吉田正尚選手が今オフにボストンで顎関節症の手術をしていたことが報道されました。

「ずっと2、3年、顎関節みたいなところが、頭痛だったり、移動がある中でストレスになってたので、チームと相談しながら決断しました」。内視鏡で2か所を開け手術した」と発表されていました。

また「口を開ける度にガクガクなってたんで、本当に最悪の時は顎がよく外れるみたいな感じもあった。これと向き合うのはきついなと思ってた」。それでも「それが(打てなかったときの)言い訳みたいになるから」と、昨シーズンは耐えながらプレーを続けてきたと明かしていました。ストレスでプレーすることも辛かったようですが、「生活する上でやっぱ顎は絶対使うし。ご飯食べるのも、アメリカは硬いからご飯。結構大変でしたよ」と日常生活にも支障をきたしていたと述べていたのも辛さをよく表していました。

さらにトレードマークにもなっている“白い歯”の秘密も語っていました。「噛み合わせの部分もいろいろあって、コロナのときに先生と話して変えていく中で。もちろんマウスピースも作ってますし、セラミックも含めて、ちょっとやってましたね」と話していたということです。

現在は「完治ってわけではないですけども、もう毎回開けるたびにガクガクになっていたのはなくなった。響く感じもなくなったので、すごくそこはやってよかった」と術後は順調に経過しているようです。

バッターが振り遅れせずに強振するときは「左の壁」のようなものを意識するのでしょう。足にかかる左右の体重移動から、それを回転力に変えていくために腰を捻り、徐々にその捻りと回転力が頭のほうに伝わっていくのですが、最後になる頭の部分はヒットするまで固定して視線をブレないように固定するはずです。ここがブレてしまうとミート率も下がってしまうからでしょう。この踏ん張るときは、左の奥歯に強いかみ合わせの力が働きます。そして、その力は(右打ちならば)左の奥歯により強い力が掛かり、更には左のあごの関節(左顎関節)にも強いストレスを与えるはずです。すると下アゴの骨と、頭の骨にある受け止め場所とで作っているあごの関節が持つクッションが滑り落ちてしまいます。

こうなると、あごが「カクカク」して、開けるのが辛くなったり、噛むのも痛い状態になってしまいます。このクッションを「関節円盤」という名で呼ぶのですが、それを元の位置に戻してやると症状がよくなります。しかし、一度ずれた経験があると、再びずれやすいのも確かです。今回は、左あごに内視鏡を入れこのズレを直したのかもしれませんが、定かではありません。

スポーツ生理学を専攻してはいませんが、野球選手だけではなく、テニス選手にも同様の傾向が見られるのではと思っています。TVで見るだけでも、口元にそういう傾向が表れている選手は少なくありません。自分が直接診せてもらった例では、広島カープのピッチャーとオリックスのピッチャーが「奥歯がすり減る」「奥歯が沈む」「奥歯が割れる」などと言っていました。物凄い運動能力を持つ選手たちはやはり、尋常じゃないストレスを体に与えているんだと感じました。

大谷選手は、右投げ左打ちで、何とか左右差を相殺させているのかなと思います(時折、右手で後ろのボードにボールを投げているのは、この左右差の是正かもしれませんね)。いずれにせよ、運動能力が高いと「あご」に負担が掛かるリスクも高く、「あごのズレ」は運動能力の低下につながるのは間違いないところです。

当院では、あごの検査、口の中の検査はもちろんのこと、足のバランス測定や姿勢、骨格の歪みまでトータルで測定したうえで、矯正治療や虫歯の治療を行います。つまり「歯の治療」は全身のパフォーマンスを最大限に発揮することが出来る身体にするということなのです。ただ、「パッと見がキレイ」なのは本当の治療ではないと考えています。

一度、あなたの全身のバランスを検査しにいらっしゃいませんか?当院の患者さんには、治療と並行して、靴の中敷きをオーダーメイドして、それによる骨格矯正が終わった時点で最終的な被せものや歯科矯正の仕上げを行うようにしています。お待ちしていますね。