「あごのズレ」シリーズ⑩_「あごのズレと子どもの成績」

こんにちは。

顎関節症をインビザラインで治療することをやり続けて10年、表参道のパルフェクリニック医科歯科の勤務医です。

このシリーズを読み続けてくれた方でしたら、もう十分に察しがつくことと思います。そうです。「子供の成績」=「脳への十分な栄養補給(ブドウ糖、ケトン体、酸素)と脳の冷却そして「脳の老廃物の回収」が全てです。

おさらいをしながら考えてみましょう。
1. あごのズレによって、首の骨がズレる→脳への血流量が減る、リンパも詰まる→十分な栄養供給と老廃物回収ができない→本来持っている脳のパフォーマンスが発揮できず、理性や集中力が損なわれる→落ち着きがなく、成績も上がらない
2. あごのズレによって(特に下アゴが後ろへ下がり、横顔が二重アゴかまたはあごが無いように見えてしまう→鼻で呼吸がしにくい状態になり、口を開けて口呼吸となる→脳の冷却が空気で行われず、脳のオーバーヒートを起こさせる→本来持っている脳のパフォーマンスが発揮できず、理性や集中力が損なわれる→落ち着きがなく、成績も上がらない

どうですか?不定愁訴の数々、認知症、鬱などの精神疾患、集中力や成績。みんな同じ要因があることが分かりますよね。脳がハイパフォーマンス状態を保てず、バグを起こすと色々な問題を引き起こすことになってしまいます。もちろん、ほかにも要素はありますが、この「あごのズレ」というやつは無視できないほどの大きな要素なのです。

ほかに大きく作用するものとして「血糖値スパイク」というものが存在します。この単語は最近よく聞くようになってきたのでご存じの方も多いと思います。これは血糖値が急激に上昇して、直後、急激に低下して低血糖になってしまう状況を言います。

ひとは糖質を摂ると血糖値が上がります。大量に血液中へ出た糖を適正地に戻そうと、体は反応してインスリンという物質を出して一定の値まで処理しようとします。しかし、このインスリンは緊急出動するときに、必要な量より多くの量を出して急いで問題を解決しようと頑張ってしまいます。すると、今度は糖を出しすぎて低血糖にまでしてしまいます。

この激しい血糖値の上下を「血糖値スパイク」といいます。グラフで表すと激しい上下動になるからです。そしてこの現象がひとを弱らせ、体へ様々な問題を引き起こすことになるのです。変だと思われるかもしれませんが、血糖値が高い「糖尿病」はこのコントロールさえ行うことが出来れば恐れることはありません。恐れられるのは、このことによって起きる「合併症」なのです。それがどういうものかは、よく喧伝されているのでご存じでしょう。

そしてこの血糖値スパイクが体を弱らせ、脳の機能を狂わせていきます。アメリカの収監されている犯罪者を対象として大規模な調査を行ったところ、そのほとんどすべてが血糖値の尋常じゃない高さを示したそうです。過剰な糖質は理性と判断能力を狂わせて、いわゆる「キレやすい」状態にさせてしまうようです。「引きこもっている」ひとが同時に、家族に暴言を吐いたり、物を投げつけたりする場合もあるようですね。

脳という重い、しかも大量のエネルギーを持つ器官を正常に保つことが、落ち着きのある状態にし、成績を上げるための集中力を高めることになります。先ずは13歳まで注意深く様子を見てあげることです。上アゴと下アゴの成長時期はズレがあります。そして、子供の時の舌の位置を正しくしておくことは、上アゴの大きさに強く影響します。舌を上アゴのくぼみにピッタリと付け、舌が常に持ち上がっていないと、頭の骨が大きく成長してくれません。つまり脳が大きくなれないのです。容器が小さければその器以上に成長できません。そして、舌が常に前歯の裏を押すような位置にあれば、それは矯正治療と同じこと。前歯が前方に倒れていきますし、前歯同士がかみ合わない歯並びにもなってしまいます。

女の子は高校生くらいで一応の成長が決まりますが、男の子はもう少し後になります。でも、肝心なのは13歳ごろまで。そこまでは親がしっかりと見てあげた方がいいのです。小さな異変はすぐにボクに相談してください。

さて、矯正は1度すれば一生そのままと考えているのは間違いです。以前も書きましたが、人生のステージごとに歯並びも変わります。骨格や筋肉が変わるのだからとうぜんです。永久歯が生えてくる前には、上アゴの発育を正しくするための矯正があります。それもマウスピースのようなものでアゴの形や大きさを整え、永久歯が生えてくるスペースを整え、舌の悪い癖を直します。

矯正は「美」も確かに大切です。そしてその「美」は、身体の健康だけではなく、知力や性格、運動能力まで向上させる「作用」を持つんだということを、担当医が理解していなければなりません。毎年、多くの歯科医にこのことをオンラインセミナーなどでお伝えしています。少しでもこういう考えを理解してくれるドクターを増やすために。そして患者さんの最大の利益が矯正治療によって得られるようにするためです。

これを読んで気になった方は、ぜひ当院へいらしてください。お子さんのIQを上げるために考えてみましょう。IQはいつでも伸びる数値のようですかね。

ではまた。