「あごのズレ」シリーズ⑨_「あごのズレと鬱」

こんにちは!

身体の歪みと運動能力の関係を顎の位置から改善することに特化した東京都港区のパルフェクリニック医科歯科の歯科医師です。

本日はシリーズ第9弾、「あごのズレ」と「鬱」の関係についてお話してみましょう。

「鬱」というものをあなたはどう考えていますか?「ストレスに心が折れた状態」「大きなショックを受けて無気力になってしまった状態?」色々な説がありますね。そしてその対処法は「とにかく、人と会って話すこと」「家から出て外の景色を見ること」「間違っても、頑張れという言葉で励まさないこと」「心療内科で薬をもらうこと」「カウンセリングを受けること」・・・実に多くの対処法が言われていますよね。

ボクはこう考えています。

「鬱」というものは、頭のおでこの部分、つまり前頭前野という部分のオーバーヒートと大きく関係していると。この前頭前野というのは生命の「種」が高度になるほど(平たく言えば、人間に近づくほど)容積が大きくなってきた部分です。そこは「理知的な行動を司る部位」であると言われています。

この前頭前野という部分は、とてもセンシティブな活動をする部位です。ほかの脳の部位が「反射」とか動物として、生命体として生存するために必要な「本能」を受け持って、個体としての私たちを守るようにしているのに比べ、とても「人間的」とうか「理性」を司っていると言い換えられるかもしれません。

脳というのは本当に燃費が悪い器官で、その燃料であるブドウ糖を大量に消費し、その燃料を燃やした時に出る熱量も半端ではありません。

じゃあ、これがどうして「あごのズレ」と関係してくるのか?

あごがズレていると、首の骨の位置もズレていることがほとんどです。また逆に、首の骨の異常があごのズレを引き起こしている場合もあります。どちらにせよ、それは首の骨の脇を通る動脈を圧迫して血が流れる量を減らしてしまうことになります。脳に行く血液の量が減ると、脳への酸素やブドウ糖という燃料が減るということです。そして当然のことながらそれは、戻ってくる静脈の血液量も減るということで、十分に脳の熱を受け取って戻れないということにもなります。脳は空冷と水冷のハイブリッド冷却なんです。これでは脳がオーバーヒートしてしまいます。

もう一つ、あごのズレ、特に下アゴの位置が、奥へ(つまり喉の方へ)引っ込んだ状態だと、見た目は上の方の歯が出っ歯に見えて、ときには下アゴが短く見えて、二重アゴのように見えます。これを見た目だけを治せばいいと考えると、間違った矯正になることがしばしばです。実はこの、下あごが奥に下がった状態だと、十分な鼻呼吸ができないため、口呼吸になってしまいます。すると、先ほどお話しした「脳の冷却」が出来なくなってしまうんです。「脳は空冷と水冷のハイブリッド冷却」だと説明しました。「血流」が「水冷」、「鼻呼吸が空冷」なんです。

なぜ「鼻呼吸じゃないと空冷」にならないか、それを説明しましょう。上アゴの奥歯の骨の中は空洞で、それは鼻の奥ともつながっています。さらにそれは歯の奥からおでこの部分まで、骨の空洞でつながっています。つまり、鼻から入った空気はおでこの方まで廻ってから喉へ戻って肺へといきます。そうです、吸い込んだ空気で脳の熱を奪ってから肺へ送っているのです。これが「空冷」ということになります。因みに、このメカニズムのおかげで、冬の冷たい空気でも鼻から吸えば、空気が暖められるので、大きく吸い込んでも咽たりしません。口で直接吸った域を肺に入れると温度差が大きくて咽るんです。

「鼻呼吸と鼻の形の関係」や「空気の温度による鼻の穴の形の変化」などと面白い話もあるのですが、それはまた別の機会にしましょう。

ここまでお話ししたことをまとめると、「あごのズレが鬱に与える影響」というのは、脳への血流量が減って酸素やブドウ糖の供給量が減る。そしてそのために脳の熱を奪えない。もう一つが、鼻呼吸が出来なくなるので脳が冷えない。この2点が、脳のオーバーヒートを起こさせ、理性的な判断がし辛くなるということです。

「鬱」も「引きこもり」も「無気力」も、そして「認知症」だってこういうことが原因の一端になっているのです。もちろん学力低下を止めて、逆に向上させる手助けもできるんです。こうしたことは全て「脳がバグを起こしてる」状態です。もしも、その原因が「あごのズレ」ならば、当然、矯正治療が必要になります。歯科矯正治療とは「見た目」だけを治すのではなく、「人間の脳や運動機能を治す」ものだと自覚して治療に当たらなければならないものなんだと言えます。

このことは是非、覚えておいてください。それが、他のクリニックでのマウスピース矯正とパルフェの矯正の最大の違いです。

詳しいことは、クリニックでお話ししましょう。ではまた。