「あごのズレ」シリーズ⑥_「あごのズレと認知症#1」
こんにちは!
表参道のパルフェクリニック・医科歯科 で、顎関節症の治療と運動機能向上のための顎位決定を担当している歯科医師です。
今回は「あごのズレと〇〇シリーズ」の6回目になります。このシリーズは「あごのズレが如何に多くのことに関係しているのかを知って頂きたいと思って続けています。どうか、このコラムの最初から目を通して頂けると嬉しいです。
さて、前回までで、「あごのズレ」が段々と足にまで「歪み」を与えていき、その間に色々な身体の不調を招くということをお話させて頂いてまいりました。そして今回はついに「認知症」との関連をお話してみたいと思います。
認知症そのものについては、色々な話をメディアから吸収されておられると思います。ここでは最初に現在分かっていることを軽くおさらいしておきましょう。
認知症の患者さんに多く見られるレントゲン上の特徴と言えば「脳の萎縮」そして特に「海馬」と呼ばれる部分の萎縮が特徴的です。また認知症の中でも「アルツハイマー型認知症」が特にクローズアップされていますよね。どの認知症でも圧倒的に脳への血液が減っていることが指摘されています。
これは、前回の「あごのズレと不定愁訴」でお話した通り、あごのズレが、特に胸から上の筋肉を歪め、緊張させ、そのために血の巡りが悪くなるということに関連するのです。「何を大げさな」と思われた方もいらっしゃることでしょう。しかし、「あごのズレ」が「骨格の歪み」を生み、「骨格の歪み」は「筋肉の不調和」を生み出します。
もう少し分かり易い言い方にしてみましょう。「あごのズレ」は真っ先に頭と胸をつなぎ、頭を支え続ける首の骨「頸椎」に歪みをもたらせます。このため、あらゆる筋肉が引っ張られたり弛んだりして不調和を生むので、血管そのものを挟み込んで圧迫したり、無理に引っ張られた状態にしたりします。そうすると、血管を流れる血液の量が減ってしまったりします。身体はその緊急事態に対処するため、血圧を上げて強制的に多くの血液を送り込むようにせざるを得ません。ここで血圧はあがるけど、それでも尚、十分な血液の量を確保しづらくなる状態が続きます。
こういう筋肉の異常だけで血圧と血液が脳へ行く量が変化してしまいます。そして、さらに「骨格の歪み」自体が脳への血の流れを悪くしてしまいます。この首の骨はご存知のように積み木を積み上げたような感じで6個あります。そしてその両脇のトンネルのような穴には「太い血管(動脈)」が通っています。この首の骨が、だるま落としを失敗したように、バラバラにずれた状態になると、トンネルを通っている血管も一緒に潰されたり引っ張られたりしてしまいます。結局、血圧や血液の流れる量に悪い影響を与えることになってしまいます。
この件の話は、12月1日にセミナーを開き、整形外科の先生なども登壇願って全国から(北海道から九州・沖縄まで)お集まり頂いた歯科医師の先生たちに聞いて頂きました。ただ会場確保の問題から当院の待合室で、午前午後を通して行ったので、ご予約の患者さまはその間を抜けて診療ブースに向かって頂くことになって、驚かれてしまったかもしれませんが・・・。
どうでしょうか。「あごのズレ」によって「血圧」や「血液の量」に大きな悪影響が及ぶことをご理解頂けたでしょうか。脳は大変燃費の悪い器官です。言い換えれば、それだけ燃料を必要とする器官なのです。その燃料は血液に混じって「ブドウ糖」や「ケトン体」という形で届けられます。十分な燃料が行かなければ、パフォーマンスが低下するのは当たり前で、さらには器官そのものを維持しづらくなってしまいます。
今回は先ず「あごのズレは脳へ行く血の流れを悪くする」ということを覚えておいて下さい。そしてそれが「認知症の原因や要因の一つ」なのだということも、です。
ご自分の周りで気になる方はいらっしゃいますか?人は一人ひとり違います。何が一番大きな原因なのかも違います。すべては個人的なお話になってしいますので、「あごのズレと認知症」が気になる方は当クリニックにご相談下さい。お待ちしております。