「あごのズレ」シリーズ⑦_「あごのズレと認知症#2」

こんにちは!

足の歪みと身体の歪みなど、姿勢に関することが顎の正しい位置を教えてくれました。自分の身体の歪みよりも患者さんの身体の歪みには敏感な歯科医師です。

前回は「あごのズレは脳へ行く血の流れを悪くする」ということとそれが「認知症の原因や要因の一つ」なのだということをお話しました。今回は更に、そのことが招くもう一つの問題についてお話します。

脳に向かった血液は燃料となるエネルギーを運ぶだけではなく、燃料を燃やした後のゴミを運んで持ち帰り、脳をキレイに保つ役目もあります。脳は特に、活発な電気信号のやり取りをする場です。ゴミが溜まってしまうと、ネットワークに支障が出るのは当然です。パソコンのキーボードだって綿埃が詰まって動作不良を起こすから定期的な掃除は欠かせませんよね。脳の中ではそのゴミが「アミロイドβ(ベータ)」と呼ばれるたんぱく質です。認知症の患者さんに見られるアレです。

このアミロイドβが上手く掃除できないと困ったことになるんだということです。そしてこれは、血液が脳から戻っていくときに運んで行ってくれるはずが、あまり血液が流れないと掃除の効率が悪いんですね。以前は、ゴミ掃除(老廃物のクリーンナップ)が血液のみに頼っていると言われていましたが、それは脳にはリンパ系が無いと言われていたせいです。

ところが近年、脳にもリンパ系があると分かりました。これは「グリンパティック系」と呼ばれるものです。主に脳の掃除は睡眠中に行われるということです。そしてこのグリンパティック系も睡眠中に活発に働くそうです。というわけで、睡眠はとても重要なものというわけです。「わたしはショートスリーパー」と言われる方もいらっしゃるとは思いますが、やはり睡眠は大事だと思います。最低でも6時間半は睡眠をとる生活がいいようです。因みに9時間以上の睡眠というのは、それはそれで良くないとのことです。まぁ元々「寝だめ」というのは効果が怪しいらしいですし、8時間くらいにしておいた方がいいのではないでしょうか。

更に付け加えると、このグリンパティック系は大の字になって仰向け寝や、うつ伏せに寝たりするより、横向きで寝るほうが効率よく働くのだという研究結果があります。仰向けは「舌」がのどを塞ぎやすいので、いびきを掻きやすいと言われます。うつ伏せは「呼吸」のためにも好ましくない寝方ですが、精神的に弱ると多くなってしまうとも言われています。じゃあ、横向き寝は問題ないのかというと、顔のしわが深くなりやすいという研究もあるようです。でも、ほうれい線の問題とかはヒアルロン酸や他のエステでカバーしてでも、リンパをしっかり働かせる方が良いと思います。何故なら、脳にはエステが出来ないのですから。因みに(「因みに」がとても多い文章ですみません。もう、後から後から伝えたいことが出てきてしまうので・・・)、お釈迦様は左を下にして、いつも寝ていたそうです。「左を下にすると心臓に負担が掛かるのでは?」とか、「右を下にすると胃に負担が掛かって活動が鈍くなるのでは」とか言われる専門家の方たちもいます。また「そもそもあばら骨で囲まれている胸の中はそんなに外からの圧力には影響されないんだ」という専門家の意見も耳にします。自分でも「まぁ、そうだろうね」とは思っているところです。

さて、「あごのズレ」からどんどん話がズレていますが、脳への血流(血の巡りやその量)が大切なことが少しでも伝わったら嬉しいです。そして大切なことをもう少し付け加えておきます。それは「認知症が発症するのは、その原因が身体に加えられ始めてから、おおよそ25年の歳月を要するということです。つまりもし、75歳で認知症と診断されたなら、それは少なくとも50歳くらいまでの生活に起因するということです。

どうでしょうか。すると「あごのズレ」や「身体の歪み」というものは、やはり早い時期から積極的に気にしておく方が「予防」になるのではないでしょうか。

これはまた「癌(ガン)」というものにも当てはまります。毎年健康診断や人間ドックに通われている意識高めの方もいらっしゃると思います。そして「早期発見」で癌が見つかった、まさにその時はなんと25~30年前にその「種」が生まれてきていたということになるのです。50歳で癌が見つかったら、それは20歳~25歳のころに始まったことの結果ということです。繰り返しますが「早期発見できて良かったですね」と言われても、25~30年もたってから分かったということです(遺伝的なものや、一度に大きな侵襲が加わった癌は別としても)。

「認知症」も「初期の認知障害がみられるようですね。この程度なら薬で進行を遅らせることが可能ですよ」と言われたとしても、やはり「25年前から始まった結果」なのです。認知症でも癌でも「予防」できることがあるなら、しておいてもいいのではないでしょうか。

今日のまとめとしては「25~30年後の自分のため、家族のためにできる認知症の予防として、あごのズレを考えよう」ということです。色々なところで「予防医療」というワードが聞かれるようになり、そのことが商業ベースに繋がっているものも多々あるようです。「予防医療」は医療費削減にもなるし、その分をその他の福祉を手厚くしたり、減税したりすることに繋げれば、もっと個人が幸せになれそうな気がします。

あごのズレが気になった方は、どうぞ当院にご相談下さい。あなたのご相談をお待ちしています。