~健康数値の都市伝説~血圧130突破!ってそんなに大問題?②

表参道のパルフェクリニック・医科歯科 で、顎関節症の治療と運動機能向上のための顎位決定を担当している歯科医師の伊藤剛秀です。

前回は、「東北地方では塩分の摂取量が多いので、高血圧の方が多い」という話でしたね。

しかし、面白いことに同じ東北地方でもリンゴの生産地である青森では逆に高血圧が少なかったのだそうです。この例からわかることは、日常的にリンゴをよく食べるということは、その中のカリウムを日常的に多く摂っていること。少し話はそれましたが、つまり「食塩を多く摂っていてもカリウムを見合う量摂っていれば高血圧にはならない」ということになるのです。

ところで前回「食塩の過剰摂取で高血圧患者になる人が全体の1~2%」と言いましたが、その理由も考えてみましょう。食塩というのはナトリウムを含んでいます。これが体内に水分を抱え込ませます。なのでナトリウムの濃度が高くなると体液が増えるから、血管内の血液の量が増えて血圧が高くなるのだという理由です。そこで血液中の水分を減らせば血圧が下がると考えて、利尿剤を処方するのだそうです。しかしそれはそれで血液がドロドロになり血栓が出来易くなる可能性があり、脳血栓等に気をつけねばなりません。

そして食塩以外に血圧を上げる原因には、動脈の血管の収縮があります。収縮して細くなれば血圧は上がり、それが続けば高血圧になるということです。血管を縮めるにはカルシウム、緩めるにはマグネシウムが関係しています。最初の方でお話した「減塩しても9割以上の人は効果を感じない」という「本態性高血圧」の原因であると言われています。この場合有効なのはカルシウムの働きを抑える薬なので、高血圧の薬として処方されることも多いです。確かにそうなのですが、血管の筋肉である平滑筋というのは血管だけにあるわけではないので、他の部位の収縮力も弱める事になります。それが副作用として現れることもあるのです。

その他、近年では「ACE阻害薬」「β遮断剤」というものが多く処方されると聞きました。何れにしても薬を使うということは副作用というものが避けられないのです(それぞれの副作用に興味があれば、Webで検索してみるのもよいでしょう)。そうであるならば、少しでも薬の量を減らせることを考えた方が得策とも言えると思うのです。

その対策の一つとして、動脈の筋肉を緩めて圧力をさげる効果と共に、余剰のカルシウムや塩分(ナトリウム)を細胞の外へと出し、腎臓から尿として排出させる効果のあるマグネシウムを昆布などの食べ物から摂るようにすることや、硬くなった血管を少しでも軟らかくするために卵やシジミなどの良質なタンパク質を摂ることなどがいいと思います。

二つ目としては、正しい栄養指導をしてくれる医師のクリニックを訪ねてマグネシウムやカリウムを処方してもらうということを考えてみても良いと思います。又、最近ではネットで検索するとカルシウムとマグネシウムを良い割合で配合しているサプリも見つかります。歯科医院で買える所もあります。

誤解のないように申し上げますが、ナトリウムもカリウムもカルシウムもマグネシウムも全てが大切なミネラルです。そのバランスが大切だという事なのです。

しかし「バランス良く栄養を摂りましょう」とか「バランスの良い食事を」とか目にしても、そのバランスというのを具体的に数字で示してくれていることがあまり見かけない気がします。せいぜい総カロリーに対する三大栄養素の割合ぐらいかもしれませんね。なのでここではバランスを数字でお伝えしましょう。

ナトリウム:カリウム=0.6:1 カルシウム:マグネシウム=2:1

が、良いバランスだといいます。具体的ですね。

では、次回はいよいよ歯科(歯並び)と血圧の部分にも踏み込んでみましょう。あなたの矯正を担当し下さっている先生は多分、そういう話をしてくれたかもしれませんけど・・・