歯を失うことにならないよう
早期の治療開始が大切
歯周病治療
歯周病について
歯周病は、歯とその周囲の組織に影響を及ぼす慢性的な感染症です。細菌の歯垢が歯と歯茎の境目にたまり、炎症を引き起こします。進行すると、歯茎が出血し、腫れ、最終的には歯槽骨(歯を支える骨)への損傷が起こり、歯が揺れるようになったり、失われる可能性があります。日本では、「歯周病」が歯を失う最大の原因とされています。この病気は初期段階では痛みを伴わないことが多く、気付かないうちに進行することがあります。歯周病のリスク因子には、遺伝、喫煙、不適切な歯みがきなどがあります。歯周病は早期に発見し、適切な治療を受けることが重要です。定期的な歯科検診や歯石のクリーニング、適切な歯みがき習慣の確立などが予防のために大切です。歯周病の進行を防ぐことで、歯を健康な状態で保つことができます。
当院では、歯周病の進行段階や患者様の要望に合わせて、幅広い治療手法をご提供しています。痛みを最小限に抑えた治療から、薬物療法まで、患者様に最適な治療法を選択し、提供しています。お口の中の健康は全身の健康にも影響を与える重要な要素です。歯周病の進行を遅らせたり予防することは、歯を長く保つために不可欠です。患者様のお悩みやご要望に耳を傾け、個々の状態に合わせて最適なアプローチを提供しています。どの治療法が最良かは患者様の状態により異なります。
担当衛生士制
当院では、「担当衛生士制」を導入しています。これは一人の患者さんに対して専属の衛生士が担当する仕組みです。患者様の口内の状態や経過は、写真や文章で詳細に記録するだけでなく、同じ担当衛生士が経過を追いながら注意深く管理することが重要です。これにより、口内の微細な変化にも素早く気づくことができます。歯磨きの方法や食事の傾向、生活リズムや習慣などは、患者さんごとに異なります。担当衛生士はそれらの個別の背景を考慮しながら、効果的な治療やケアを提案し、PMTC(専門的な歯科衛生士によるクリーニング)を行います。
担当衛生士制のメリットは、患者様との信頼関係の構築や口腔衛生の改善につながることです。患者様お一人おひとりのニーズに合わせた個別のケアを提供することで、より良い結果を得ることができます。私たちは患者様の口内環境の健康を守るために、担当衛生士制を通じて的確なアドバイスや処置を行っています。ご不明な点やご相談があれば、お気軽にお申し付けください。
PMTC
PMTCとは、医師や歯科衛生士が、専門器具を用いて歯面洗浄を行う事を言います。歯の表面に付着したタバコのヤニ・紅茶コーヒーの色素などを取除き、歯面洗浄後、再石灰化を促進させるジェルを塗って歯質の強化をうながします。
定期的なPMTCによって、プラークの再付着を防ぎ、むし歯予防、歯周病予防、歯周疾患の治癒促進、口臭改善などの効果が期待できます。
保険制度における歯周病治療のルール
歯科医院に対し「歯周病治療はやたらと時間がかかる…」「いつまでたっても治療が終わらない」このようなご不満をお持ちの方も多いのではないでしょうか?実際、保険内で歯周病治療を受けようとすると、比較的軽度の歯周病の場合であっても最低6回の通院が必要になるのです。 と言いますのも、実は日本の保険制度では歯周病治療に関して下記のようなルールを設けているからです。「SRP(歯石やバイオフィルムの除去)は6ブロック(上右奥歯・上前歯・上左奥歯・下右奥歯・下前歯・下左奥歯)に分けて行うこと。」SRPは歯周基本治療とも呼ばれる処置で、すべての進行段階で必要になってくる治療ですので、保険を利用する以上は通院の負担はどうしても避けられないのです。「通院回数をなるべく減らしたい。」という方にとっては、このような保険の制約のとらわれない自費治療が有効な選択肢の一つと言えるでしょう。
当院の歯周治療
ぺリソルブ
「歯石を取ってもらう時の痛みが苦手…」このようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?歯石を取る際の痛みに関しては術者の腕によるところもあるかと思いますが、それ以外の要素として「歯石が付着している場所」も大きく影響します。例えば、歯肉の上に出ている歯石は比較的簡単に取ることができるため、施術の際も痛みを感じることはそれほどありませんが、歯肉の中にある歯石はとても硬く強く歯にこびりついているため、ゴリゴリと力を入れなければ除去しきれず、時間がかかる上に痛みを伴う場合も多くあるのです。
さらに、歯肉を傷つけてしまうことでその傷口から歯周病菌が血管へと入りこみ、毒素が全身を巡り動脈硬化や糖尿病などのリスクを高めてしまう事にもつながります。
そこで当院では、歯肉の中にこびりついてしまった歯石も痛みなく安全に除去ができるように、ぺリソルブを使用した処置も導入しております。
ぺリソルブとは
ぺリソルブは、スウェーデンで開発された歯周治療用薬剤で、歯周病の原因である歯垢や歯石のみに作用しやわらかくすることのできる新しい薬剤です。歯肉縁下の硬い歯石も30秒ほどで柔らかくすることができますので、今までは麻酔が必要であった歯石縁下の歯石とりも麻酔なしで痛みなく処置を進めることができます。また、ぺリソルブは歯垢・歯石だけに作用するため歯肉を傷つけることもなく、細菌が血管内へ侵入してしまうリスクも最小限に抑えることも可能。抗生物質も使用しないので副作用もなく、全身疾患をお持ちの方やご年配の方でも安全に治療を行うことができます。
特徴
- 歯肉縁下の硬い歯石も柔らかくなるので痛みもなく短時間で処置を終えることができます。
- ぺリソルブの殺菌効果により歯周ポケット内の菌が殺菌されるため、感染リスクが軽減されます。
- 歯石や歯垢のみに作用するため、健康な組織を傷つずに処置を終えることができます。
- ペリソルブは試験を受けて安全性が確認されています。
- 刺激・副作用のある抗生物質を使用しないので、安心・安全に治療を行うことができます。
歯周内科治療
歯周内科とは、歯周病菌に効果のある薬(抗生物質)を用いて歯周病を改善する治療法のことを言います。従来、歯周病の治療と言えば歯磨き指導と歯石除去などのクリーニングが中心でしたが、このような治療法では歯周病菌を完全に除去することは出来ず、重度ともなれば、「毎日長時間の歯磨きが必要」「ずっと通院していて先が見えない」などといった、精神的にも時間的にも大きな負担がかかってくることが多々ありました。しかし最近では、歯周病の原因となっている歯周病の原因となる細菌の種類、数を特定し、それらに効果のあるお薬を服用していただきながら、従来の歯周病治療を受けていただく「歯周内科」という治療法が普及しつつあります。
歯周内科治療の流れ
- 歯周病の原因となっている細菌の種類や数を確認
- 細菌を除去するための薬剤(抗生物質)の内服
- ご自宅で細菌除去効果の高い歯磨き粉(カビとり歯磨き剤)をもちいたブラッシング
- 歯科医院でのメンテナンス(歯石とり・クリーニング)
歯周外科治療(フラップ手術)
歯周病が中度以上に進行してしまった場合は、歯周ポケットが深すぎて、スケーリングやルートプレーニングでは歯周ポケットの奥にある歯石を除去することが困難になります。そこで、歯茎を切り開き、直視下で歯根の奥深くにある歯石や汚れを取り出す外科治療(フラップ手術)を行います。徹底的に汚れを取り除くことができるため、悪化してしまった症状を一度リセットするという意味ではとても有効な治療法ですが、患者さまの負担も大きく、また、状況によっては適用できない場合もありますので、歯科医師とよく相談しながら進める必要があります。
フラップ手術のメリット
- 歯周ポケットの奥深くの歯石や細菌まで徹底的に取り除くことができる。
フラップ手術のデメリット
- 手術後に歯茎が下がったり知覚過敏を起こす可能性が生じる。